3年ブログ

2016年8月に始まり、ついに3年を迎えました。

緻密な版画に圧倒される!吉田博の版画展に行ってきた

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東京都美術館で開催している、版画家・吉田博の展示会に行ってきました。

いやぁ本当に素晴らしかった!!!

 

吉田博の魅力

緻密な絵作り

今回鑑賞した吉田博の版画ですが、やはり版画らしさがあってとっても満足できました。

会場に入ると、まず最初に向き合うことになる作品『朝霧』。展示1枚目になりますが、最後まで見た中でもナンバーワンでした

瞬間の美と、安定した構図。何時間でも見ていたい作品です。

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吉田博『朝霧』(1901-03)

画像は紫色が強く出てますが、実際はもっと白かったと思います。

左下から画面中央へとつながる葉っぱの流れ。2人の人物が静かな暮らしを物語っています。視線は上に移っていき、最後は木々の間からきれいに抜けていく……。

優れた絵画は、その1枚のなかで視線がぐるぐる回る仕掛けが施されています。秋田麻早子著『絵を見る技術』でもそのように紹介されていました。

長時間見ていられるというのは、画家にとっては一番うれしいことでしょうね。趣味で写真をやっている僕にもそれはよくわかります。

 

吉田博の版画はその他多く版画と比べて、摺る回数も使う色も多いのが特徴です

たとえば、同時期を生きた版画家、川瀬巴水の作品を見てみます。同じ版画といえど、その違いが絵に表れていますね。

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川瀬巴水_(左)『明治神宮菖蒲田』(1951)
(右)『三津浜の朝』(1953)

雰囲気がぜんぜん違います。

版画のイメージに近いのは、むしろ川瀬巴水のほうかもしれません。

紙に直接描いていくよりも、ひと手間かかるのが版画です。それゆえに、吉田博の緻密な絵作りがひときわ目立ちます。

 

同じ絵が複数ある!

展示1枚目ですでに魅了されてしまいましたが、その後も最後までたのしむことができました。

同じ版木を使って、昼と夜、春夏秋冬といったふうに、複数バージョンが絵があったのは面白かったです。

版画ならではのやり方ですね!

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吉田博『スフィンクス』(1925)

摺り色を変えることで、時間帯や季節までも細かく表現しているのがわかります。

その他、薄く摺ったり濃く摺ったりと、さまざまな工夫が凝らしてありました。

 

展示自体のボリュームも満点です。

色をあえて塗らずに刷って凹凸を際立たせる”空摺り”だったり。故ダイアナ元英国皇太子妃が執務室に飾っていた版画には、たくさんの人が並んでいました。

実際に使われた版木も展示されているのを見れば、みんな思わずうなるでしょう。

彫りの緻密さが、想像のはるか上でした。

 

とにかく構図が美しい

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吉田博『瀬田之唐橋』(1933)

先にも書きましたが、僕は趣味で写真を撮っています。そうした観点でいうと、構図が本当に美しかった。もちろん版画は絵ですから、風景にないものまで描くことができます。

けれども逆に、「自分なら撮るとき邪魔だと思うのにな」という位置に木の枝がある、といったことが何枚か見ていて思いました。

構図については、写真より絵画のほうが自由度があります。だからこそ、枝の例で言ったら「あったほうが美しいから描いた」はず。

そう考えて改めて見てみると、なるほどそうなのかもしれない、なんて学ばされました。

 

吉田博の作品については、公式サイトの見どころにいくつかあります。ぜひ見てみてくださいね!!

見どころ – 没後70年 吉田博展

さいごに

ここまで随分と書いてしましました。^^;

美術展は会期が決まっています。ブログで紹介しても会期が終わったらムダになるかな、とも思ったのですが……自分が感じたことは残しておこう、という気になりました。

好きなことについてはたくさん書けますね。まだ言いたいことがたくさんあることに驚いています。

長すぎても良くないのでこのへんで。次回は別の展覧会の話をしようと思っています。

ではまた。

 

yoshida-exhn.jp

 

【参考】

・秋田麻早子著『絵を見る技術