3年ブログ

2016年8月に始まり、ついに3年を迎えました。

【そんな悩みにはこの小説を】文学効能事典を読んでみた

文学効能事典アイキャッチ画像

図書館にやってきた。入り口付近のコーナーで足を止めた。

ん? なんだこれ。

赤い表紙に、フレンチトーストくらいの厚さがある。

『文学効能事典ーあなたの悩みに効く小説ー』。

気になる本を見つけました。

 

読んでみた

本を手に取り、ぱっと開く。そのページにはこうあった。

 

『自分の鼻が嫌いなとき』

 

は? 自分の鼻が嫌いなとき? なにそれ。

ペラペラめくってみる。

 

『無意味なことをしてしまうとき』『めまいがするとき』 『愚痴っぽいとき』。

 

それぞれに一緒に小説が紹介されている。それもしっかりと書かれているぞ。

どんな本なんだろう。

続けてペラペラめくってみる。

 

『下痢のとき』『50歳になったとき』『ネクタイに卵がついていたとき』。

『片思いのとき』『早漏のとき』『セックスレスのとき』。

 

うーむ……なるほどわからん。

とりあえず、最初に目に入った『自分の鼻が嫌いなとき』を見てみよう。176ページだ。

 

『自分の鼻が嫌いなとき』。

紹介されているのは、パトリック・ジュースキントの小説『香水ーある人殺しの物語』とある。聞いたことないけど、有名なのかもしれない。

紹介文を読んでみよう。

じっくり眺めれば、どんな鼻もかなり奇妙だ。大きな鼻もあれば、小さな鼻もあるし、スキーのジャンプ台みたいな鼻もあれば、クレーターのあるいかついこぶみたいな鼻もある。

そして、おそらくだれも異存がないと思うが、どのような鼻も特に美しいものではない。

(続く)

お、おう……。

 

このあとも読み進めてみた。この小説は、鋭い嗅覚をもって生まれた主人公の話らしいとわかった。

ところが残念なことに、あまり興味が持てなかった。そもそも僕は、自分の鼻についてこれといった悩みはなかった。

もう少し、自分に関係あるテーマで探そうか。たとえば「仕事」ってキーワードはあるかな。

 しごと、しごと、しごと……

 

『無職のとき』。

 

お、ちょうどいいのがあった!

僕はいま無職です。これ見てみよう。275ページだ。

 

開いた。紹介されている小説は……村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』。

うお!! これ読んだぞ! しかも仕事を辞めてすぐ読んだ本だ!!

正解を当てたみたいで急にテンションが上がる。

紹介文を読んでみる。

 

うんうん、そうね、そうそう……あ〜そうだよね、たしかに……うわぁ、それわかるわ……あぁそんな描写だったね……だからあの本好きなんだよね……何度も読みたくなるよね……わかる……

 

これは面白い!

無職の人がいたら、僕も『ねじまき鳥クロニクル』を勧めたいです。もしかしたら、自分の鼻が嫌いな人は先の人殺しの小説を勧めたがるのかもしれません。

このあとすぐ本を借りました。家でじっくり読みたいです。

特に『ネクタイに卵がついていたとき』なんて、なんの小説がどう紹介されているんだろう。たのしみだ。

 

さいごに

誕生日が憂鬱だ。腰が痛い。幸福ってなんだろうか……大小問わず、どんな人にも悩みはあるもの。

そんな悩みに対し、ときには笑いで、ときにはマジメに答えてくれて、1冊の小説を処方する。それが本書の特徴です。

 

上の紹介ではちょっとふざけすぎたかもしれません。ごめんなさい。

実はこの本、図書館内の自殺や心身症に関するコーナーで見つけました。わりとマジメに書かれていることがわかるよう、「はじめに」の最後を引用します。

心身の不調を改善する薬として本書でおすすめする小説を、読者のみなさんが十分に楽しんでくれることを願っている。
それによって、いま以上の健康と、幸福と、より多くの知恵を手に入れてほしい。

そうです。あらゆる悩みは心身の不調へとつながっており、それらは小説を読むことによって改善、あるいは緩和することができる。著者はそう信じており、その想いはページを通して伝わってくるのでした。

 

この本はササッと読むよりも、その都度手にとってページを開くのが良さそうです。

一生手元に置く価値があると思い、図書館に返却する前にAmazonで発注しました。

小説が好きな人はもちろん、読む習慣のない人もたのしめるはずです。悩みに効くかどうかはさておき(笑)、読み物としてとても面白い本でした。

ぜひ読んでみることをオススメします。(^^)